住宅購入時の「境界トラブル」を防ぐための3つの対策
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住宅購入時の境界トラブルを防ぐための3つの対策
– 筆界未定や越境、現況測量と公図との違いなど、不動産購入時に注意すべき境界問題と、その予防策を実務ベースで解説します。
筆界未定とは?売確認すべき土地境界の法的基準
土地の売買において「境界がどこにあるのか」は非常に重要なポイントです。なかでも「筆界(ひっかい)」という専門用語や「筆界未定地」という言葉を耳にすることがあります。普段の生活では馴染みがない言葉ですが、不動産取引では大きなリスクにつながるため、売買前に必ず確認しておきたい部分です。今回は、筆界の定義や筆界未定地がもたらすリスク、そして法務局や専門家を通じた確認方法について詳しく解説します。
筆界とは?境界との違いを理解する
「筆界」とは、不動産登記法に基づいて定められた土地と土地の境目を指します。登記簿上での区画の限界線であり、公法上の概念です。これに対して、隣地所有者との利用上の境目である「境界(民法上の境界)」とは必ずしも一致しない場合があります。
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筆界(公法上の境界)
登記簿に記録された土地の範囲を示す線。国が定める基準。 -
境界(民法上の境界)
実際に隣地所有者と利用している範囲。塀やフェンスで区切られているケースが多い。
この違いを理解していないと、「登記上は自分の土地ではなかった」「フェンスの位置が実は越境していた」といったトラブルが起こりやすくなります。
筆界未定地とは?
「筆界未定地」とは、法務局に登記されている土地の境界が確定していない、あるいは隣接地との筆界が明らかでない状態を指します。
たとえば以下のようなケースです。
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古い時代に測量が曖昧に行われ、図面と現地が一致していない
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境界標(杭や石)が失われ、どこまでが自分の土地か不明
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隣地所有者との合意が得られていない
筆界が未確定の土地は、取引の際に大きなリスクを伴います。特に売買後に境界紛争が発生すると、買主が思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があるため、事前確認が必須です。
筆界未定地がもたらす売買リスク
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土地面積のトラブル
筆界が不明確な場合、登記簿上の面積と実際の面積が一致しないことがあります。買主は「100㎡だと思って購入したが、実際は90㎡だった」といった損害を被る恐れがあります。 -
隣地との紛争
隣接地所有者との境界が未定のまま売買すると、「塀や建物が越境している」と指摘され、移設や撤去を求められるケースがあります。これにより追加の費用や時間が発生します。 -
融資・売却の制限
境界が未定の土地は金融機関からの評価が低く、住宅ローンの審査が通らない可能性があります。将来的に転売する際も買主がつきにくく、資産価値を下げてしまいます。
筆界を確認する方法
売買を安全に進めるためには、筆界の確認作業が欠かせません。主な方法は以下の通りです。
1. 法務局での調査
法務局では、地積測量図や公図などを閲覧できます。これらを確認することで、登記簿上の境界線や面積を把握できます。ただし、古い図面では精度が低い場合があるため注意が必要です。
2. 土地家屋調査士による現地測量
専門家である土地家屋調査士に依頼し、現地測量を行う方法が最も確実です。隣地所有者の立ち会いのもと、境界標を設置して合意を取り付けることができます。将来のトラブルを防ぐうえで有効な手段です。
3. 筆界特定制度の活用
隣地所有者との合意が得られない場合、法務局に「筆界特定制度」を申請することが可能です。これは第三者である筆界調査委員が調査・判断を行い、筆界を特定してくれる制度です。裁判よりも迅速かつ費用を抑えて境界を明確にできるのがメリットです。
売買前にできる予防策
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売主は、売却前に境界を確定しておくことで買主に安心感を与え、スムーズな取引につながります。
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買主は、契約前に「境界が確定しているか」を必ず確認し、不明確な場合は測量を条件に加えることが重要です。
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不動産会社に相談する際は、「境界確認書」や「測量図」の有無をチェックポイントにしましょう。
まとめ
「筆界未定」とは、土地の境界が法的に確定していない状態を指し、不動産売買において大きなリスクを伴います。境界が曖昧なまま契約を進めると、面積の食い違いや隣地との紛争、資産価値の低下といった問題につながりかねません。
売買前には法務局での調査や土地家屋調査士の測量を活用し、必要に応じて筆界特定制度を利用することで、安心して取引を進めることができます。
越境問題の種類と解決方法
不動産売買において「境界トラブル」の代表的なものに 越境問題 があります。越境とは、建物や塀、樹木などが隣地の敷地に入り込んでしまっている状態を指し、放置すると売買の妨げになったり、隣地所有者との紛争に発展したりする恐れがあります。今回は、よくある越境の具体例と解決方法、さらに売買契約に盛り込むべき条項について詳しく解説します。
越境問題の種類と具体例
1. 建物の一部が越境しているケース
建物の屋根やひさし、バルコニーなどが隣地にはみ出しているケースです。古い住宅地では境界線の認識が曖昧なまま建築されたため、築年数が経過してから発覚することもあります。
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リスク:隣地の建替えや売買の際に支障をきたし、撤去・補修の費用が発生。
2. 塀やブロック、フェンスの越境
境界線上に設置されている塀やフェンスが実際には隣地側に寄っているケースです。外観では気づきにくく、測量で判明することが多いです。
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リスク:隣地の利用制限を生み、将来的に移設費用を巡るトラブルにつながる。
3. 樹木の枝や根の越境
庭木の枝が隣地に伸びて日照や落ち葉の問題を引き起こす、あるいは根が地中に侵入して地盤や配管へ悪影響を及ぼすケースです。
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リスク:民法上、枝は所有者が切除義務を負うため、放置すると損害賠償請求を受ける可能性がある。
越境が判明したときの対応方法
1. 売主が対応する場合
売買前に越境が判明した場合、原則として売主が責任をもって解決することが望ましいです。
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建物や塀を修繕・移設する
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隣地所有者と「越境承諾書」や「使用承諾書」を取り交わす
これにより、買主は安心して取引でき、後々のトラブルを避けられます。
2. 買主が対応する場合
売主と買主の合意により「引渡し後に買主が越境問題を処理する」ケースもあります。その場合は、価格調整や契約書に明確な取り決めを記載しておくことが重要です。
3. 隣地所有者と協議する場合
越境は当事者間の協議で解決するのが基本です。境界線の確認や、承諾書・覚書を交わすことで将来のトラブルを防止できます。第三者の立ち会いが必要な場合は、土地家屋調査士や司法書士に依頼するのも有効です。
契約書での解決条項の盛り込み方
越境があるまま売買を進める場合、契約書に明記しておくことがリスク回避のカギとなります。代表的な条項は以下の通りです。
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越境物承諾条項
「本物件の屋根の一部が隣地へ越境していることを買主は承諾する」 -
是正義務条項
「売主は引渡しまでに越境部分を是正する義務を負う」 -
承諾取得条項
「売主は隣地所有者から越境承諾書を取得し、買主に引き渡す」 -
費用負担条項
「越境是正に要する費用は売主・買主折半とする」
こうした条項を契約に盛り込むことで、後日の紛争リスクを最小限に抑えられます。
越境問題を防ぐための予防策
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売却前には土地家屋調査士に依頼して現地測量を行い、境界と越境の有無を確認する
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境界標を復元し、隣地所有者の立会いで位置を確定する
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問題が発見された場合は、早めに解決策を協議し、文書化して残しておく
これらの対応を怠ると、売買後に高額な費用や関係悪化を招く恐れがあるため注意が必要です。
まとめ
越境問題には「建物」「塀」「樹木」といった具体的なパターンがあり、それぞれに異なるリスクと解決策が存在します。不動産売買においては、売主・買主の双方が責任範囲を明確にし、必要に応じて契約書に承諾条項や是正義務を盛り込むことが不可欠です。
現況測量と公図・登記簿の違い
不動産の購入や売却を検討する際、「土地の面積や境界は登記簿に載っているから安心」と思われる方も少なくありません。ところが、実際の土地の形状や面積と、登記簿や公図に記載された情報が一致しないケースは珍しくないのです。こうしたズレを把握しないまま取引を進めると、後々のトラブルや損失につながりかねません。そこで今回は、現況測量図と公図・登記簿の違いを整理し、購入前に測量を依頼するメリットを解説します。
現況測量とは?
現況測量とは、土地家屋調査士などの専門家が実際に現地を測量し、現在の土地の形状・面積・境界位置を正確に図面化したものを指します。境界標(杭・石・金属プレートなど)を確認し、隣地所有者の立ち会いを得て作成されるため、取引の基礎資料として非常に信頼性が高いのが特徴です。
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現況測量図に記載される内容
・土地の形状
・各辺の長さと角度
・境界標の位置
・隣地や道路との接道関係
現況測量は、実際の土地の「いまの姿」を把握するための調査といえます。
公図とは?
「公図(こうず)」は、法務局で保管されている土地の配置図で、土地同士の位置関係や形状を示したものです。もともと明治時代の地租改正の際に作られた古い図面をベースとしているため、精度はあまり高くありません。
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特徴と限界
・土地の位置関係を大まかに確認するための資料
・縮尺や測量精度が低く、現況と一致しないことが多い
・境界線を確定させる法的効力はない
つまり、公図は「参考図」であり、売買や境界確定の場面でそのまま使うことはできません。
登記簿とは?
登記簿は、土地や建物の権利関係や物理的な情報を法的に記録したものです。土地については「所在・地番・地目・地積(面積)」などが記載されています。
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ポイント
・権利関係を明らかにする重要な資料
・登記面積(公簿面積)は古い測量に基づいている場合が多い
・実際の土地面積と登記面積が一致するとは限らない
このため、登記簿上では100㎡とされていても、現況測量すると95㎡しかなかった、逆に105㎡あった、というケースも起こり得ます。
ズレが生じる理由とは?
公図・登記簿と現況の土地面積が一致しない理由には、以下のようなものがあります。
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測量技術の違い
明治期の測量は縄や簡易器具で行われ、精度が低かった。 -
境界標の喪失
長年の経過で境界杭が失われ、位置が不明確になる。 -
土地の利用状況の変化
道路拡張や造成工事で境界が移動したように見えることがある。 -
登記の更新不足
実測を反映した登記がされないまま、古いデータが残っている。
購入前に現況測量を依頼するメリット
1. 境界トラブルを未然に防げる
隣地との境界を明確にし、越境や筆界未定の問題を防げます。購入後に「塀が越境していた」と判明すれば、多大な費用や労力が必要になります。
2. 正確な土地面積を把握できる
登記簿の面積と実際の面積が異なる場合、固定資産税額や将来の売却価格にも影響します。実測により正確な価値を算出できます。
3. 融資審査に有利
金融機関は境界が確定していない土地を敬遠する傾向があります。現況測量図があることで、担保評価がスムーズに進み、ローン審査にもプラスになります。
4. 将来の資産価値を守れる
購入時に現況測量を行っておけば、将来的に売却するときも安心して引き継ぐことができます。
まとめ
公図や登記簿はあくまで参考資料であり、現況の土地状況を正しく反映しているとは限りません。一方、現況測量図は専門家による最新の測量結果を反映しており、境界や面積を明確にする唯一の確実な手段です。
不動産購入を検討する際には、登記簿や公図だけで判断せず、現況測量を依頼することで安心して取引が進められます。大阪府寝屋川市を中心に活動する株式会社ミライエ不動産販売では、測量士との連携を通じて正確な境界確認をサポートしています。購入前の不安を解消し、将来の資産価値を守るために、ぜひお気軽にご相談ください。